小説家は眠らない

くだらない大学生男子がオタクチックなことをうだうだ書いていく、予定。

夢の国を探す君の名を誰もが心に刻むまで「封神演義」

個人的にジャンプの漫画で一位、二位を争うほどすっきりとした完結を迎えた漫画。終わり方もさることながら、巻数もかなりいい感じに収まってます。

 

 

封神演義―完全版 (01) (ジャンプ・コミックス)

封神演義―完全版 (01) (ジャンプ・コミックス)

 

 あらすじ

今から3000年前の古代中国、王朝時代。第30代皇帝紂王は文武共に優れた名君であった。しかし邪心を持つ仙女妲己を皇后に迎えて以来、彼女の怪しい術に惑わされ、かつての賢君は見る影も無い抜け殻になった。悪政を続ける紂王と妲己。国は乱れに乱れた。そこで仙人界崑崙山の教主元始天尊は悪の仙道を神界に封じ込め、革命による新たな王朝を作る計画「封神計画」を弟子の太公望に実行させる。

 

後に太公望は持ち前の頭脳と人を惹き付ける人格で仲間達を集め、宝貝(パオペエ)という仙界の道具を使い、共に封神計画を進めていく。そして順調に進む封神計画の中、新たな事実が次々と判明していくのであった。

 

 

 

もう二十年近く前の漫画ですが、今読んでも十分面白い作品です。元々は中国の古い小説ですが、藤崎竜先生の手によって大幅にアレンジされ、娯楽漫画の形となっています。ちなみにこの漫画、ジャンプで円満に最終回を迎えた数少ない作品。伏線の張り方は必見です。

 

感想

私がこの作品に出会ったのは小学生の頃ですから、今からもう八年くらい前になるのでしょうか。読み始めた当初はなんだこれ、よく分からんと思っていましたが、段々成長していくと、なんだこれ凄いじゃねえか、という気持ちに変わりました。

 

この物語は話が進んでいくにつれて、いかに壮大なお話ということに気づいていくのですが、最初の時点では主人公「太公望」が悪い仙人を倒してこい、と教主様に言われて旅立つ、という感じです。あらすじを読むと歴史漫画ばりばりの感じがしますが、別に歴史を知らなくてもこの漫画では問題ないので、歴史が嫌いな方でも大丈夫ですよ。

 

まずこの漫画の魅力で一番力説したいのは、絵の美しさです。

 

一見するとかなり癖が強く、好き嫌いが分かれる絵ではありますが、この漫画の絵はよくよく見ると相当に美しい絵をしています。特に完全版の表紙はそれが顕著に表れており、画集が欲しくなるほどの魅力を秘めています。

 

 

封神演義―完全版 (02) (ジャンプ・コミックス)

封神演義―完全版 (02) (ジャンプ・コミックス)

 

 

 

封神演義―完全版 (10) (ジャンプ・コミックス)

封神演義―完全版 (10) (ジャンプ・コミックス)

 

 

 

封神演義―完全版 (12) (ジャンプ・コミックス)

封神演義―完全版 (12) (ジャンプ・コミックス)

 

 

手頃な大きさの画像がネットになかったので、Amazonのリンクで貼っていますが、どうでしょうか。美麗なイラストだと思いませんか?

 

しかもこの完全版、並べるとそれぞれイラストが繋がっています。ネットで検索すれば繋がったイラストが堪能できると思いますので、ぜひ一度見てみてください。これもはや画集だよな、と問いたくなるほど素晴らしい絵になっていますので。

 

では内容紹介に移っていきましょう。

 

 この漫画の主人公「太公望」は一見するとかなり自堕落な仙人です。瞑想中に眠りこける、強い相手とは戦いを避ける、酒を飲み明かして敵に捕まる、など。かなり適当な性格であるのは間違いありません。

 

しかし太公望はその実、計算高く動くタイプの主人公なのです。常に飄々としていて実力を見せることは少ないですが、その実力は敵味方問わず高く評価されるほど。

 

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力を誇示することは少なく、どの程度の実力を持っているのか読者にさえ隠し通すキャラというのは、なかなか扱いが難しいです。その点この太公望は割と最初から最後までどれほどの実力があるのか、また、本気の程はいかほどかが掴みにくい人物でありました。

 

実際作中では数多く戦いを経験しているのですが、太公望の戦い方というのは基本的に策略によるものが多いです。ですから本気の実力を出して戦う機会というのは少ない。強い相手にはその相手に応じた対策で勝負を挑みます。

 

最初の方ではあまり練られた感じの戦い方ではありませんが、巻を追うごとにどんどん戦い方が洗練されていきます。頭を練った戦いをするのが彼のいいところ。

 

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また、この漫画はパワーインフレが少ないことも特徴の一つとして挙げられます。作中のパワーバランスがここまで綺麗に保たれた作品というのはあまり類を見ません。強い奴は最後まで強いし、急激な成長、意味のない弱体化というのがこの漫画ではないのです。

 

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物語を通して倒すべき敵であり、ヒロインである「妲己」は一巻で既に太公望の前に登場しますが、全巻を通して作中最強キャラとして描かれています。もっと言えば、太公望が最初に戦った相手「申公豹」も「妲己」に匹敵する実力を持っています。これは絶対に揺るぎなく、だからこそこの「封神演義」という漫画が綺麗に終わったと評されているのでしょう。

 

また、この漫画は先にも述べた通り伏線の回収が凄まじいです。何から何まで綺麗に回収しますから、一度全部読んで、もう一度順番に読んでいくと新しい発見を見い出せます。読めば思わず凄いと声を漏らすでしょう。

 

この漫画は一話の終わりにこのように書かれて物語が始まります。

 

古代(むかし)むかしのおはなし。

太公望が封神を終えるのはこれより十数年も先になる。

 

この言葉は当然その通りになるのですが、ここまでくる過程を知った後でこの言葉を読むと、改めて感慨深いものになりますね。

 

およそ二十年の年月が経つ漫画ですが、今読んでも最高に面白いです。ぜひ一度読んでみてください。

 

ちなみにブログで完全版を結構推していましたが、私は完全版は持っていません……。完全版欲しい……。