小説家は眠らない

くだらない大学生男子がオタクチックなことをうだうだ書いていく、予定。

「金田ァ!」 「さんをつけろよデコ助野郎ォ」 世界が熱狂したSF漫画の到達点「AKIRA」

漫画、映画共に世界的な大ヒットをしたSF漫画の最高峰。映画は景気のいい時代を象徴していますね。

 

 

AKIRA(1) (KCデラックス ヤングマガジン)

AKIRA(1) (KCデラックス ヤングマガジン)

 

 あらすじ

1988年7月、関東地区に新型爆弾が使用され、第三次世界大戦が勃発した。 そして31年—東京湾上に構築されたメガロポリス=ネオ東京は、翌年にオリンピック開催を控え、かつての繁栄を取り戻しつつあった。

 

 

 

圧倒的な画力と、気の利いた台詞の言い回し、洒落ている乗り物や能力などなど、センスの塊のような漫画です。作者は大友克洋先生。リアル過ぎる背景や描写は未だに色褪せません。

 

感想

私は割とどんなジャンルの漫画でも読むのですが、一番好きなのはSF漫画です。徹底的に磨き上げられた設定と、胸を躍らせる描写が読んでいて楽しいですね。

 

そんな私ですが、そもそもなぜSF漫画が好きになったというと、それはこの漫画に出会ったからです。

 

もはや説明せずとも分かるといった人も多いでしょうが、今回あえて語ろうと思います。とてもおもしろい作品ですから、気に入った方は一度ご覧ください。

 

この漫画は第3次世界大戦後、復興した東京が舞台です。荒れ果てた土地も三十年の時を経てすっかり直り、東京オリンピックが間近という時代です。

 

偶然なのか、それとも狙っていたのか、この漫画の東京オリンピックの開催は2020年です。ですから東京オリンピックが決まった時はAKIRAファンはニヤリと微笑んだわけですね。まあAKIRAのような時代にはまだなっていませんが。

 

そういう感じの時代設定で物語は始まりますが、まずこの漫画の魅力で力説したいのはその描写の緻密さです。

 

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背景、乗り物はもちろん緻密ですが、私が特に声を大にして言いたいのは、この漫画の躍動感です。動きが絵から活き活きと伝わってくるスピードが素晴らしい。これがこの漫画の最大の魅力だと思います。まるで映画を見ているような気分にさせるのは、読者を引きつけて離しません。

 

映画版もそうですが、この漫画は何から何まで描き込まれているので、まるで実際にそれらを見てきたかのような気分にさせます。SF漫画はいかにして読者に世界観を納得させるかがキモですが、「AKIRA」はこれに大成功したと言えるでしょう。読んでいるだけで想像が容易くできるのはこれのほかにあまり類をみません。

 

また、当然のことですが、ワンシーンの描き様も圧巻です。

 

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台詞がなくともどんな場面かがすぐに分かります。人間がどういう行動をしているのかが一目見ただけで分かりますし、場所や乗り物からおおよその状況が把握できますね。こういうことがサッとできる漫画はそうはないでしょう。

 

このように圧倒的な画力が「AKIRA」にはあります。ここではネタバレになるため詳しくは書きませんが、最終巻のワンシーンの絵などはただただ圧倒されるばかり。絵が上手い漫画というのはいろいろな種類がありますが、この漫画は画力が高い漫画の一つの到達点とさえ言えるかもしれません。

 

このように、「AKIRA」の絵が凄いのはもはや言うまでもないでしょう。これ以上は実際に読んでもらうほうが早いと思います。ただ、描き込みが多いために一つ一つのコマに見入ってしまい、ゴチャゴチャしていると感じる方はこの漫画を苦手だと思うかもしれません。ですが、気に入る方はとことんまで気に入ると思います。

 

またこの漫画は、上で語ったようにこの漫画は一つの映画を見ているような気分になります。それは高い画力からそう思うのですが、別の理由に、軽快なテンポとセンスが光る台詞があるためです。

 

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この健康優良不良少年という言葉が実に小気味良い。言葉にしてみると分かりますが、言葉選びが絶妙で、台詞の軽快さが伺えます。こういった台詞が至る所に散りばめられていますから、少し分厚くともサクサク読める。

 

読んでいてトントンと話が進んでいくのも印象的ですね。場面が丁度いい速度で進んでいきますから、見ていて飽きたり疲れたりはしない。長過ぎず、短過ぎず、という漫画は読み終えるとスッキリとした気分になりますよ。この漫画はそんな作品の良い例です。

 

と、ここまでべた褒めしてきたわけですが、この漫画はまず映画の方から入ったほうが良いかもしれません。というのも、映画の完成度が桁外れに優れているからです。

 

金にものを言わせましたと言わんばかりの映画は、もうこのレベルの作品を作るのは無理だろうと言われるほど。なにしろバブルの頃でしたから、いくらでもつぎ込めたわけです。具体的な数字で言うと、「AKIRA」の映画はこんな感じ。

 

  • 総セル画枚数約15万枚。
  • 当時の日本のアニメとしては破格の10億円をかけている。
  • 通常リミテッドアニメーションでの人物の口の動きは3種類であるが、この作品では母音の数と同じ5種類で描かれている。つまり、キャラクターが喋る唇の動き方は、現実の人間の動かし方と同じ。

 

などなど。もうこんなアニメ映画なんてなかなか作れないと思います。映画の出来は相当優れていて、主人公「金田」が乗るバイクは今でもファンの間で愛され続けていますね。

 

ちなみに映画と原作の漫画は結構内容が違っていたりします。漫画では主要人物のキャラが、映画ではどうでもいい感じの立ち位置のキャラであったり、結末が異なっていたり。とはいえどちらも名作であるのは間違いありません。

 

おそらく映画から入って、興味が出たら漫画を読んでみるというのがいいのではないかな、と思います。原作と違うとは言いましたが、原作の雰囲気や空気はそのままですから。本当によくできた映画だと思いますよ。

 

ちなみに映画の名シーンであり、今回のタイトルでもある熱い場面は、漫画だと結構あっさり出てきます。

 

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いや、でも熱いことには変わりないんですけどね。緊迫したシーンであることは間違いありませんし。

 

そういうわけで私はこの漫画が大好きです。未だに漫画、映画の両方を見返しますし、友達に勧めたりもします。この記事を読んで、少しでも興味が出た方は「AKIRA」の世界に触れてみてください。きっと魅惑の世界が貴方を待っています。