小説家は眠らない

くだらない大学生男子がオタクチックなことをうだうだ書いていく、予定。

独りで黙々と食べる飯ほど幸福を感じる瞬間はない「孤独のグルメ」

ただご飯を食べるだけの漫画。それ以上でもそれ以下でもないのですが、妙に魅力がある。そんな漫画です。

 

 

孤独のグルメ 【新装版】

孤独のグルメ 【新装版】

 

 

  あらすじ

個人で雑貨輸入商を営んでいる井之頭五郎(いのがしら ごろう)が、仕事の合間に立ち寄った店で食事をする様を描いたグルメ漫画。主人公が訪れる場所は高級料理屋などではなく、大衆食堂のような店がほとんどである。また、出先での食事がメインのため、出張など(7話・19話・特別編)を除けば大半が東京を中心とする関東の店となっている。料理の薀蓄を述べるのではなく、ひたすらに主人公の中年男の食事シーンと心理描写を綴っているのが特徴。ドラマティックな展開などは少なく、あたかもドキュメンタリーのごとく淡々とストーリーが流れていく。

 

 

 

ただただ食事をしていくだけの漫画。オーバーリアクションもなければ、胸躍るようなストーリーもありませんが、よく分からない魅力があります。原作は久住昌之先生、作画は谷口ジロー先生。

 

感想

最初に断っておくと、この漫画は万人に受ける漫画ではないような気がします。というのも、この漫画、おっさんが飯を食べるだけ。ただそれだけの漫画です。雰囲気が好きな人は結構気に入るのですが、合わない人は何が面白いのかさっぱり分からない。

 

私はこういう独特な空気の漫画が好きなのですが、私の友人はこれのどこが面白いのかさっぱり分からないといった具合でした。ですので胸を張っておすすめできる作品ではありません。一冊買えばいいので、買って合わなくてもダメージが少ないと言えば少ないのですが、そこそこな値段がしますから、よく考えて購入されることをおすすめします。

 

ここまで書いてしまうと本当にこの漫画は面白いのだろうかと思うかもしれません。私自身、この漫画が面白いのかどうか聞かれると微妙なところです。

 

ですが、この漫画の雰囲気はとても良い。この独り身のおじさんが飯を食べるという、何気ない描写がとてつもなく良い。

 

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大げさな説明はありません。主人公がカッコイイわけでもないし、料理人が別段魅力的でもない。だからこそこの漫画は素晴らしい。

 

一人で飯を黙々と食べる。内心は結構いろんな感想を抱きながら、もりもり食べる。そういう感じはほかの漫画ではお目にかかれません。主人公「井之頭五郎」が食事をしているだけなのに、なぜか興味が出てくる。

 

個人で輸入商を営む五郎はなかなか小金持ちです。いつでも食べたい時に食べ、腹が減ったらすぐに外食ができる。結構羨ましいですね。いつでもホイホイ外食できる財力というのはそこそこお金を持っている証です。

 

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この五郎という男はなかなか食欲旺盛で、一回の食事でめちゃくちゃ食べます。上の画像はコンビニでいろいろ買った結果ですが、金額にして1892円。コンビニで一人で2000円近く使うなんて、そうそうないと思います。しかも全部食べ物って。

 

基本はぶらうら歩いている先で店に入って、そこで食事をするのがこの漫画のメインです。どれもこれも割とおいしそうなのですが、五郎はそれなりの頻度で失敗しています。食べる組み合わせに失敗したり、自分が食べたかったものが店ではもうやってなかったり、そもそも行きたかった店がもう潰れていたり……。日常的に起こりうるものの、さして気にしないことをこの漫画は取りげています。だからこそ楽しく読める。

 

ああ、分かる分かるということを描くのがこの漫画は上手いです。そんな経験自分もあるよ、という気持ちで読めるわけですね。これがこの漫画の良い所。面白いわけでもわくわくするわけでもないんですが、安心する感じの漫画です。

 

加えて、この漫画は描写も丁寧です。

 

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実に食欲がそそられる絵です。簡単な説明文が付けられているのもグッド。特にこの回の料理の絵を見ているとお腹が空きますよ。このウマそうなご飯を五郎がウマそうに食べていくわけですから、こちらも食べたくなる。特に深夜に読んでしまうともう駄目ですね。コンビニに行きたくなりますよ。

 

食事に対する考えが如実に表れている漫画だと言えます。独特ですし、面白いかと聞かれると微妙なのですが、安心感に包まれる漫画です。また、主人公の五郎の哲学がこの漫画をより一層引き立てるので、不思議な空気に包まれること間違いなし。

 

モノを食べるときはね

誰にも邪魔されず

自由でなんというか

救われてなきゃあダメなんだ

独りで静かで豊かで……

 

よく分からない哲学と言ってしまえば、確かにそうなのですが、この哲学があるからこそ「孤独のグルメ」は良い漫画なのです。

 

美味しそうなご飯が見たい人、独りでご飯を食べるのが好きな人はぜひとも読んでみてください。